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ファッションECのスマホ会員登録フォームでCVR+12.68pt:Gyro-n EFO導入とログ解析で明らかになった離脱改善の要因

2025/10/07
向井 重文
  • EFO
ファッションECのスマホ会員登録フォームでCVR+12.68pt:Gyro-n EFO導入とログ解析で明らかになった離脱改善の要因

ファッションブランドのECサイトを運営されている企業様のオンライン会員登録フォームにGyro-n-EFOを導入し、CVR+12.68pt・離脱率−37ptを達成。ログ解析で確認画面以降の離脱要因を特定し、送信ブロック機能による改善効果をレポートします。

エグゼクティブサマリー

  • 対象はファッションECのスマートフォン会員登録フォーム(22項目/必須21)
  • ABテスト(配信比率 1:4)でCVR 36.32% → 48.99%(+12.68pt / +34.9%)
    → CVRは高いほど良い最終到達(会員登録完了)が増えたことを意味します。
  • 途中離脱率 47.24% → 10.02%(−37.22pt / −78.8%)
    → 途中離脱率は低いほど良い入力途中でやめてしまう人が大幅に軽減
  • 確定率 28.54% → 57.84%(+29.31pt / +102.7%)
    → 確定率は高いほど良いエラーなくsubmitできた人が倍増しています。
  • ログの分解で判明したボトルネックは確認画面以降での離脱集中
    パスワード欄が戻り時に空欄へ戻る挙動が再入力の手間(ストレス)を発生させ、往復ループ→離脱を誘発。
  • 有効だったのは、送信ブロック+エラー項目リンク未解決エラーを確認画面へ持ち込ませないこと、
    そして戻っても入力値が保持される体験設計(状態保持)。この2点で離脱の軽減→CVRの押し上げにつながりました。

指標の見方

  • 途中離脱率=入力開始後に完了せず離脱した割合(低いほど良い=離脱の軽減
  • 確定率=エラーなくsubmitできた割合(高いほど良い=スムーズに送信
  • CVR=最終ゴール到達の割合(高いほど良い=成果増
Gyro-n EFO導入事例。ファッションECの会員登録フォームでCVR36.32%→48.99%、途中離脱率47.24%→10.02%に改善。確認画面での離脱を送信ブロック機能で解消。
ファッションECのスマートフォン会員登録フォームにおけるGyro-n EFO導入効果。 CVR36.32%→48.99%(+12.68pt)、途中離脱率47.24%→10.02%(−37.22pt)へ改善。 確認画面以降の離脱を特定し、送信ブロック%エラーリンク機能でエラーを事前解消した成功事例。

この記事でわかること

  • どこで離脱が起きていたかをログで特定(結論:確認画面以降が主因)
  • なぜ離脱したのかを行動データから説明(戻る→パスワード再入力の往復が負担)
  • どう直したかの実務手順を提示(送信ブロック/エラー項目リンク/状態保持)

対象フォームとEFO設定

EFO導入フォームの内容

項目内容
EFO導入フォームの種類 ECサイトのオンライン会員登録フォーム
フォームデバイスタイプ スマートフォン
フォーム項目数 22(うち必須項目数16)

EFOの設定内容

必須のフォーム入力項目EFOの設定内容
お名前(漢字) 必須入力
お名前(フリガナ) 必須入力+フリガナ自動入力
メールアドレス 必須入力+入力支援(メールアドレス形式[正規表現]のエラー検知)
メールアドレス確認 必須入力+確認フィールドの相違チェック
性別 必須選択
生年月日 必須選択
郵便番号 必須入力
都道府県 必須選択+入力支援(郵便番号から都道府県自動入力
市区町村 必須入力+入力支援(郵便番号から市区町村自動入力
丁目・番地・ビルマンション名 必須入力
電話番号 必須入力+文字数制限+文字種判定(半角数字)
会員ID 必須入力+文字種判定(半角英数)+最低文字数制限
パスワード 必須入力+文字種判定(半角英数)+最低・最長文字数制限
パスワード確認 必須入力+確認フィールドの相違チェック
パスワードを忘れた時の質問 必須入力選択
質問の答え 必須入力
確認ボタン 送信ブロック&エラー項目リンク
各入力必須項目 入力必須項目が一目でわかるカラー設定
リアルタイムエラーチェック
誤操作防止 誤操作による離脱ブロック

「EFOあり」「EFOなし」のABテストの結果

EFOを設定している場合としていない場合のABテストの結果データです。

※こちらの事例ではABテストの配信比率を1:4(「EFOなし」を1「EFOあり」を4)に設定したデータとなります。(Gyro-n EFOは、配信比率を自由に設定することが可能です。)

ABテスト結果のポイント

  • CVR:+12.68pt(+34.9%) … 高いほど良い(最終到達が増加)
  • 途中離脱率:−37.22pt(−78.8%) … 低いほど良い(離脱の"軽減")
  • 確定率:+29.31pt(+102.7%) … 高いほど良い(エラーなくsubmitが倍増)

ABテスト結果のデータ

計測項目EFOなしEFOあり改善率
ページビュー数 417 1307  
ユニークユーザ数 201 845  
確定数 119 756  
途中離脱数 197 131  
確定率※ 28.54% 57.84% 29.31ポイントアップ
途中離脱率 47.24% 10.02% -37.22ポイント改善
コンバージョン数 161 415  
コンバージョン率 36.32% 48.99% 12.68ポイントアップ

※確定率は、エラーのない状態でsubmitボタンが押下された率。

このテストでは、以下の結果となり、Gyro-n EFO導入による大幅な改善効果が得られました。

Gyro-n EFO導入によるファッションECスマートフォン会員登録フォームの改善グラフ。コンバージョン率36.32%→48.99%(+12.68pt)、フォーム途中離脱率47.24%→10.02%(−37.22pt)、確定率32.86%→62.17%(+29.31pt)。EFO導入で確認画面以降の離脱を抑制し、入力中のエラーを事前検知してCVRを大幅向上させた成果を示す。
ファッションECサイトのスマートフォン会員登録フォームにおけるGyro-n EFO導入効果の比較グラフ。
ABテストの結果、コンバージョン率は+12.68ptに上昇、フォーム途中離脱率は−37.22ptへ改善。確定率は、+29.31へ大幅アップ。

Gyro-n EFO ログデータからの分析:確認画面以降の離脱がボトルネック

Gyro-n EFOにはフォーム上でユーザーがどのような動きをしているのかを読み取れる詳細なログデータが記録されています。フォームのログデータを確認し、問題点や改善点を確認していきましょう。

考察1:途中離脱の原因をつかむ

今回のデータで、特に大きな改善がみられているのは、途中離脱率です。

計測項目EFOなしEFOあり
途中離脱率 47.24% 10.02%

−37.22ポイントの大幅改善!

表面的な数値だけを見ると、入力途中でストレスを感じて離脱したユーザーが多かったようにも見えます。
しかし、途中離脱の原因を深掘りして内訳を確認すると、意外な実態が浮かび上がります。

途中離脱の内訳データ(比率で比較)

計測項目EFOなしPVに対する割合EFOありPVに対する割合
ページビュー数 417   1,307  
途中離脱数 197 47.2% 131 10.0%
フォーム項目への入力途中で離脱した数 36 8.6% 113 8.6%
確認ボタンクリック後に離脱した数 161 38.6% 18 1.4%

「フォーム項目への入力途中で離脱した数」の割合は、
EFOなし:8.6%/EFOあり:8.6%とほぼ同じであり、
入力項目自体が原因ではないことが分かります。

一方、「確認ボタンクリック後に離脱した数」に注目すると、
EFOなし:38.6% → EFOあり:1.4%と、明らかな数値の変化が見られます。

つまり、フォーム入力を終えたユーザーは問題なく進めているものの、
確認ボタン(submit)を押した後のプロセスで離脱が急増していた
ことが、
ログ分析によって明確に判明しました。

実際にフォームを確認する

このフォームには「パスワード」の入力項目があります。
確認画面に進んだ後、エラーの発生や訂正で入力画面へ戻ると、パスワード欄が空欄に戻る仕様でした。
そのため、エラー箇所を修正してもパスワードの未入力に気づかず再び確認へ進み、エラー → 戻る → 再入力を繰り返すケースが発生。
スマートフォン利用ではこの往復が大きな負担となり、離脱の強い要因になっていたと考えられます。

Gyro-n EFOのログデータが示すフォームの問題点
Gyro-n EFOのログデータが示すフォームの問題点

また、こちらのフォームは、スマートフォン用のフォームであるため、ユーザーは移動中や待ち時間などのスキマ時間に短時間で登録を終えたいニーズが強いと考えられます。
そのため、戻る → 再入力の往復が発生すると負担が増し、途中離脱を誘発しやすい状況でした。
この傾向は、確認画面以降の離脱率の高さパスワード項目のUU比の差といったログでも裏付けられます。

各入力項目へのアクセス数とユニークユーザー(UU)数に対する割合

計測項目EFOなし:アクセス数UU(201)に対する割合EFOあり:アクセス数UU(845)に対する割合増減
お名前 119 59.2% 514 60.8% +1.6%
メールアドレス 141 70.1% 627 74.2% +4.1%
電話番号 150 74.6% 614 72.7% −2.0%
パスワード 238 118.4% 775 91.7% −26.7%
パスワード確認 234 116.4% 776 91.8% −24.6%

※アクセス数はフォーム項目にアクセスした回数(1PVにつき1回の訪問を計測)

分析と考察

入力項目ごとのアクセス数をUU(ユニークユーザー)に対する割合で見ると、
多くの項目は60〜70%前後で安定しています。

一方で、パスワード関連は挙動が異なります。
EFOなし:約120%/EFOあり:約90%と大きな差が出ています。
ここで100%超は、1人あたり平均で同じ項目に2回以上アクセスしていることを意味します。
つまり、確認画面から戻った際にパスワードの再入力が発生しやすい状況だったと読み取れます。

EFO導入後は、送信ブロックエラー項目へのジャンプによって、
未解決のまま確認画面へ進むケースが抑えられました。
その結果、不要な再入力が大幅に減少しています。

実際に、パスワード項目のUU比は約25ポイント低下
これは、フォーム体験の負担が軽くなり、入力完了までの流れがスムーズになったことを示唆します。

大幅な改善の要因は、離脱を防ぐ、「送信ブロック機能」

Gyro-n EFO導入によりフォーム途中離脱が大きく改善された主因は、
「送信ブロック機能」によって確認画面での離脱を防げたことにあります。

この機能は、入力ミスが残ったままでは確認画面に進めないようにする仕組みです。
以前は、確認画面でエラーに気づいて入力画面に戻り、パスワードを再入力して…というやり直しの繰り返しが多く見られました。

送信ブロック機能を使うことで、入力中にその場でエラーを直せるようになり
確認画面に進んだあとに戻る手間がなくなりました。
その結果、確認画面以降の離脱がほとんど起きなくなったのです。

考察2:入力規則をカナに設定しているためのエラー

次に、ログデータから明らかになった今回のスマートフォン向け会員登録フォームの改善ポイントは、カナ入力に関する部分です。
Gyro-n EFOのログでは、エラーが発生したタイミングその原因となった条件を細かく把握できるため、どのような操作がエラーにつながっているのかを正確に特定できます。

各項目に対する、エラータイミング別・条件別データ

 計測項目アクセス数エラータイミング別エラー条件別
種別エラー数エラー率種別種別詳細エラー数エラー率
EFOなし お名前(フリガナ) 147 入力後 23 15.65% 必須   10 6.80%
文字種 カタカナ 13 8.84%
submit時 35 12.50% 必須   9 3.21%
文字種 カタカナ 26 9.29%
EFOあり お名前(フリガナ) 585 入力後 73 12.48% 必須   42 7.18%
文字種 カタカナ 31 5.30%
submit時 35 2.99% 必須   19 1.62%
文字種 カタカナ 16 1.37%

分析と考察

EFOなしでは、フリガナ項目でのsubmit時エラー率が9.29%と高めでした。
文字種(カタカナ)の誤入力によるエラーが目立ちます。

EFOありでは同項目のエラー率が1.37%まで改善しており、
誤入力などのエラー発生率が大幅に減っています。

また、EFOなしでは、フリガナ以外の項目で確認画面エラーを出しているケースも多く、
その影響でパスワード未入力など複合的なエラーにつながっていることが推察されます。

EFO導入後は、入力後のタイミングでもエラー率が5.3%に低下。
全体として、入力中・送信時ともにエラー発生が顕著に減少しています。

このケースはスマートフォン特有の課題

スマートフォンでは、カナ入力に変換操作が必要なため、
ユーザーにとって入力の手間が大きく、カタカナのみを必須とする仕様は使いづらい傾向があります。

そのため、フォーム設計の観点からも、
文字種の制限はできるだけ緩やかに設定することが望ましいといえます。

分析から得られたポイント

スマートフォンのフォームでは、カタカナのみを必須とする厳格なルールが、EFOの有無にかかわらずエラー率を押し上げる原因になりがちです。
EFOでエラー検知や入力支援を強化しても、ルールが厳しすぎると操作の煩雑さが残るため、文字種ルールの緩和自動変換・候補提示などの入力補助を併用する対応が有効です。

Gyro-n EFOには文字種の自動変換機能があります。
ひらがなで入力しても自動でカタカナに変換でき、全角→半角など指定した文字種へ統一できます。

まとめ

今回例に挙げたフォームでは、Gyro-n EFOを導入することで、確認画面に遷移する前にエラー項目を検知・修正させ、ユーザーにパスワードの再入力をさせる離脱原因を除くことで、結果的にコンバージョン率の改善がみられました。

EFO導入による改善効果の比較

項目EFOなしEFOあり
特徴 確認画面遷移後の途中離脱が非常に多い 確認画面遷移後の途中離脱を大幅に改善
途中離脱率 47.24%(上昇) 10.02%(改善)
確定率 28.54%(低下) 57.84%(上昇)
コンバージョン率(CVR) 36.32%(悪化) 48.99%(上昇)

EFO導入前は、確認画面以降の途中離脱率が47.24%と高く
結果として確定率やCV率(コンバージョン率)も低下していました。

一方、EFO導入後は途中離脱率が10.02%に大幅改善
確定率・CV率ともに上昇し、フォーム体験全体のスムーズさが向上しました。

フォームの離脱原因はフォームごとに異なるため、
EFOを導入してログデータを詳細に分析し、
ユーザーにとって入力しやすい設計へと継続的に改善していくことが重要です。

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