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まだまだ上がる内部施策でのコンバージョン -マーケティングとゲーミフィケーション-

2014/03/24
  • インバウンドマーケティング

皆さんはゲーミフィケーションという言葉を聞いたことがありますか?この言葉を聞いてもいまいちピンと来ないという人も多いのではないでしょうか?

ゲーミフィケーションとは?

ゲーミフィケーションの基本的な概要に触れて行きたいと思います。この言葉はもともと1980年頃にエセックス大学教授のリチャード・バートルが「ゲームでないものをゲームに転換する。」という意味で使い始めました。その後、言葉の意味が変わり、広く伝わったのは2010年頃と言われています。現在でもはっきりとした共通の定義はなく、人によっても意味は多少違いがあります。
ここでは、ペンシルべニア大学ウォートン・スクールのケビン・ワーバックらによるゲーミフィケーションの定義である「非ゲーム的文脈でゲーム要素やゲームデザイン技術を用いること」という前提で話を進めていこうと思います。今回はゲーミフィケーションの簡単な概要について触れるとともに、モチベーションの重要性について触れてみようと思います。

まず、はじめにゲーミフィケーションの概要についてですが、ゲーミフィケーションは上記に説明した通り、「非ゲーム的文脈でゲーム要素やゲームデザイン技術を用いること」であると言えます。もう少し深く説明すると、従業員を対象とした内部、顧客を対象とした外部、人々の生活習慣改善などを対象とする行動変容といったビジネスなどの実生活(非ゲーム的文脈)において、ゲーミフィケーションの具体的手法であるPBL(ポイント・バッジ・リーダーボード)、報酬、クーポン、交換、ギフト、ポイント交換などという(ゲーム要素)及び、顧客などに対してモチベーションを低下させず、その仕組みに取り組ませる微調整(ゲームデザイン技術)を行い、利用することと言えます。身近な例では食べログのレビュアーランキングなどに見られるリーダーボードやナイキの「ナイキプラス」、AMEXのプラチナカードといったように様々なものに応用されています。

ゲーミフィケーションの目的について、マーケティングをする上での目的や近年の問題が深く関わっていると言えます。問題とは、昨今のように多大な情報の海の中でユーザーは一時的、表面的にしか情報に触れないため、企業は顧客とのつながり、すなわち長期的に継続して関与することをそう高めるか、そして購買行動へと動機付けるための機会をどう創出していくのかということについて更に考えなくてはならない時代となったことです。社会心理学などでは、人間は対象となる物の価値を関与が深くなればなるほど無意識に高く感じると言われています。これらを踏まえると、企業は顧客との動機付けの機会減少という問題に直面していると言えます。

ゲーミフィケーションの目的は?

ところで、なぜゲーミフィケーションを検討したほうが良いのでしょうか?言い方を少し換えるとゲーミフィケーションの本質的な目的はどのような部分にあるのでしょうか。それは大きく3つあると言われています。「関与・実験・結果」です。

まず、関与(エンゲージメント)ですが、これはマーケティング的な観点から顧客に自社製品を買ってもらえるための顧客自身のモチベーションがあるという意味での関与であるといえます。その人に何か行動を起こさせるモチベーションを作る手段の一つとしてゲーミフィケーションが存在しているということです。
次に、実験については、ゲームやゲームデザイン設計によるものについては実験が可能であるというものである。ゲームで失敗してもモチベーションは維持されているので何度もコンテニューするというケースがイメージしやすい具体例となるでしょう。ゲーミフィケーションの必要性の一つです。確かに実験という意味ではA/Bテストのようにwebマーケティング全体を通じても実験を行うことが可能であり、基本的に同じことが言えるのですが、ゲーミフィケーションとの差異はモチベーションの維持という部分で大きく変わってしまいます。実験することができる、すなわち、最後の目的である結果を可視化できるということに大きな意義があります。これはwebマーケティングと共通点が多い結果が見えるという部分でもあります。

webマーケティングにおけるゲーミフィケーションのすすめ

このマーケティング上の問題とゲーミフィケーションの目的、すなわち顧客と企業の関与を深いものにするということが合致するところに検討の余地があるのです。顧客に行動を起こさせ興味を持たせ続け、関わらせ続ける心理的なトリガーとして、webサイト上での内部施策の一つとしてゲーミフィケーションの応用(報奨、達成感、競争の要素、熱心に取り組む対象、純粋な楽しみといったゲーム要素を上手く活用すること)を考えるべきではないのでしょうか。すなわち、人々が「ゲーム」を楽しむ際の「心理」を理解し、そこに作用するゲームの設計技法、考え方、メカニズムによって、顧客の興味・関心を獲得することで、モチベーションやロイヤリティを高め、関与(エンゲージメント)を獲得することが、ゲーミフィケーションに取り組む本質的な目的だと言えます。

以上のように、今までより顧客との関与が難しくなった今日においてはモチベーションの形成が非常に重要となってきているでしょう。どのようにwebサイトの全体のバランスを図り、顧客の行動シナリオを展開していくのか。表向きのキャンペーン等の派手な外部の施策に目が行きがちですが、それはきっかけの一つにしかならず、終局的に顧客と直接繋がるのはwebサイトであったり、自社サイトとパソコンの画面です。したがって、モチベーションの維持をさせたままコンバージョンに繋げるということをもう一度考えるのであれば、身近なwebサイトやそのサイト内の内部施策として、ゲーミフィケーションを考えてみるといいかもしれません。

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